視床痛の原因と症状および治療法

視床痛の治療

 

視床痛の治療についてですが、残念ながら決定的な治療法というのがまだ確立されていないのが現状で、現在ではまず薬物療法を実施して、更には脳外科的な治療に進むという流れになっています。

 

薬物療法においては、NSAIDsやモルヒネは効かず、抗うつ剤であるノルアドレナリンや塩酸マプロチリンが主に利用されており、塩酸マプロチリンはノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強く、抗コリン作用が弱いのが特徴で、直接脳に作用して精神活動を活発化させ、意欲や行動性を高めることでうつ状態を改善します。

 

又、抗痙攣薬であるフェニトイン、カルママゼピンが使用されることもあり、これらは本来はいわゆるてんかん発作の薬です。他にも神経遮断による異常刺激反応を抑制するための微量ケタミン持続点滴やチオペンタールの投与が痛みに対して効果的なケースがあります。

 

脳外科的な治療では、刺激術と破壊術という方法があり、共に中枢痛に対する手術です。刺激術では視床痛覚中継核刺激術が行われ、これは内側毛帯の太い神経線維が刺激されることにより鎮痛効果が得られるという理論となっています。

 

破壊術ではガンマナイフという開頭手術をしないでγ線を用いた定位放射線手術が行われます。これは局所麻酔下で行うので、全身麻酔の開頭手術よりも患者の負担がかなり低減され、高年齢者や全身状態が良くない人の場合でも施行できるのがメリットとなっています。